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2010年06月09日

お嫁さんにして!

「ねぇ・・・」

乙は質問した。

「甲はどうして今の会社に入ったの?」

甲は即答した。

「辞めるのに何の未練もなさそうだったから」

乙は溜め息をつきながら驚き呆れて返した。

「そんなんで面接、よく通ったわね」

「いや、面接でも60歳のお爺さんになってから社長
になっても仕方ないので3年以内に辞めますって、
そのまま正直に思ったこと言ったんだけど、結局は
信じてもらえなかった」

それはそうだ。

どこの学生が面接でそんな馬鹿な回答をするだろう。

しかも甲は筆記試験免除の幹部候補生コースとして
の採用だった。
 
たった2回の面接で内定を出されて、どこでも好きな
勤務地と職種を選んでいいとまで役員面接では言わ
れた。

47都道府県すべてに支店支社が散らばっており、
従業員7800人を抱える証券会社だった。

それは甲の配属を見れば一目瞭然だった。

地域採用の事務職員だった乙は勇気を振り絞って
言った。

「転勤になる前に辞めちゃうのかな?」

甲は乙の勇気など微塵も感じずに、目をキラキラ輝
かせながら答えた。

「わからない。すべてが将来本を書くためのネタ集め
だから。1人でも多くの人の喜怒哀楽を肌で感じて、
最終的にはその人たちにも目にすることができるよう
に世に出したい」

乙は甲の勢いでずっと堪えていたひと言が遂に言
い出せなかった。

「お嫁さんにして!そして私を小説のヒロインにして」

甲は翌月、会社を辞めた。

誰にも相談せずに、辞めた。

同期のほとんどは内心、喜んだ。

職場のほとんどの人間が内心、ホッとした。

ごく一部を除いては。


...次代創造館、千田琢哉

★2010年4月刊『20代で伸びる人、沈む人』
★2009年9月刊『こんなコンサルタントが会社をダメにする!』
★2009年8月刊『尊敬される保険代理店』
★2009年8月刊『存続社長と潰す社長』
★2009年6月刊『継続的に売れるセールスパーソンの行動特性88』
★2008年9月刊『社長!この直言が聴けますか?』
★2008年6月刊『THE・サバイバル 勝つ保険代理店は、ここが違う』
★2007年10月刊『あなたから保険に入りたいとお客様が殺到する保険代理店』

投稿者 senda : 2010年06月09日 00:05

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