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2010年05月26日

早く次の誕生日こないかな。

乙がオードリー映画の中で最もお気に入りは、

『ティファニーで朝食を』

だった。

ティファニーというブランドが好きなのもさること
ながら、実際には映画のどこにもティファニーで
朝食をとるシーンがないところが好きだった。

ティファニーで朝食をとるシーンがないのにタイ
トルが『ティファニーで朝食を』以外にないと思
えるところがよかった。

甲も『ティファニーで朝食を』が好きでよく観た。

ただ理由は少し違った。

ジョージ・ペパード演じる売れない作家が登場
するところが好きだった。

甲は売れない芸術家、売れない作家が登場
する映画はそのシーンだけでも繰り返し観た。

まだDVDではなくビデオの時代に、テープが
擦り切れるほど繰り返し観た。

これからの自分が立ち向かわなければならな
い壁をあらかじめ教えてもらえるようで何とも
快感だったのだ。

この日は乙の誕生日だった。

ホテルの部屋には巨大スクリーンとビデオデ
ッキが装備されていた。

『ティファニーで朝食を』

を二人揃って初めて部屋で鑑賞した。

朝食はルームサービスを利用した。

甲は乙にプレゼントでフランク・ゲーリー
デザインしたくねくね指輪を渡した。

包装と箱を見ればティファニーであることは一
目瞭然だった。

ただくねくね指輪はちょっと個性的であまりに
意味ありげだった。

乙は、

「アンバランスだけど、すごく素敵ね!」

と四の指に挿して朝陽に手をかざした。

甲は、

「ほら、左下の魚のオブジェ」

と部屋の大きな窓から下をのぞかせた。

乙は言った。

「・・・フィッシュ・ダンス?」

「そう、あのフィッシュ・ダンスをデザインした
デザイナーだよ」

フランク・ゲーリーもまた若いころ、成功には
恵まれなかった。

甲は来年の誕生日には自分の処女作をプレ
ゼントすることを心に誓った。

甲のその想いはフランク・ゲーリーのことを調
べれば調べるほどに乙の心に沁みた。

「早く次の誕生日がこないかな・・・」

と待ち遠しかった。

2人にとって歳を取ることは悲観することでは
なかった。

時間が早く過ぎて歳を取ることは2人にとって
実に好ましいことだった。

最高の人生だった。


...次代創造館、千田琢哉

★2010年4月刊『20代で伸びる人、沈む人』
★2009年9月刊『こんなコンサルタントが会社をダメにする!』
★2009年8月刊『尊敬される保険代理店』
★2009年8月刊『存続社長と潰す社長』
★2009年6月刊『継続的に売れるセールスパーソンの行動特性88』
★2008年9月刊『社長!この直言が聴けますか?』
★2008年6月刊『THE・サバイバル 勝つ保険代理店は、ここが違う』
★2007年10月刊『あなたから保険に入りたいとお客様が殺到する保険代理店』

投稿者 senda : 2010年05月26日 00:00

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