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2010年03月03日

スローモーションの殺人

「フー」

甲は深いため息をついた。

乙はクスクスと笑って甲に言った。

乙がクスクスと笑ったときはいつも要注意だった。

「珍しいわね、ため息なんてついて」

乙は大学院で生物学を専攻する学生だった。

「ねえ、ため息をつくと周囲の人たちは早死にする
って話、知ってる?」

甲は言った。

「悪いけど今日はそんな作り話を聴いている余裕
はないよ」

乙はキリリと襟を正して真剣な表情になった。

「これは本当の話だから真剣に聞いて。私にも関
わってくることなんだし」

福島県出身の乙はいつもはホンワカとしている癒
し系美人だったが、真剣なときはゆっくりと目を閉
じて大きく深呼吸した後にぱちりと大きな瞳をまっ
すぐにこちらに向けるのが癖だった。

「人間のため息をガラス管に集めマイナス118℃
の液体酸素で液化さるの。それをモルモットに注
射するんだけど、どのような反応が出たと思う?」

乙の質問に甲は興味本位で当てずっぽうに答えた。

「死んじゃった?」

「た?」を言い終えると同時に乙は答えた。

「そうよ。数分後にね」

「注射した直後から急に暴れ出してそのまま逝っ
ちゃったの」

甲は驚いた。

モルモットが死ぬことに驚いたのではない。

乙の迫力に驚いたのだ。

「だから、私の前でため息をつくのはやめて。2人
で一緒に長生きしたいから。ため息はタバコと一
緒でスローモーションの殺人よ」


...次代創造館、千田琢哉

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投稿者 senda : 2010年03月03日 00:00

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